水曜日, 6月 29, 2022
Home Curator’s Eye 現象と想像力の冒険。

現象と想像力の冒険。

絵画とは異なり、実物や物を題材にした写真の表現は、被写体によって多少制限されます。被写体の選び方、照明の当て方、場所の設定、作家と被写体との距離感、あるいは全く手を加えない自然な撮り方。アーティストが想像力の魔法で現実を捉えていく様は、とても興味深い体験です。

福嶋幸平

KEISUKE UCHDA

Dososhin-jinjaShrine
H 90cm x W 60cm
Naeba Waterfall
90 x 60 cm

KEISUKE UCHDA

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Playfulness
29.7 x 21 cm
Full focus
29.7 x 21 cm

梅川 良満

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Incarnations #002(Goblin)
H 30cm x W 30cm
Incarnations #001 (Necromicon)
H 30cm x W 30cm

Yasuaki Matsumoto

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fish wish
H 40.6cm x W 50.8cm
river of milk
H 40.6cm x W 50.8cm

Yumiko Kamoto

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Crawl up
H 26.6cm x W 40cm
Shake
H 26.6cm x W 40cm

Shinya Rachi

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White exchange
H 103cm x W 72.8cm
After meal
H 59.4cm x W 42cm

JG. Heckelmann

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Entry
H 84cm x W 100cm
The Way – Another Place
H 87cm x W 90cm 
Shinzo Okuokahttps://www.tricera.net/
1992年東京都出身。大学でインド哲学を学んだ後出版社に勤務し、アート雑誌と神社専門誌の副編集長として雑誌及び書籍の企画・編集に携わる。2019年にスタートアップ企業である株式会社TRiCERAに参加、日本初の現代アート専門の越境ECの開発及びアーティストのマネジメント、自社オウンドメディアの立ち上げを担当する。特技は速筆で、雑誌時代には1ヶ月で約150ページを1人で取材・執筆した。

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Tokyo Young Art Scenes #001

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Koalanov – アニメとリアリズムの魅力を持つ女の子

フィリピーノの若手アーティスト、コアラノフは、iPadを使って半現実的なものからアニメーションのようなドローイングまでを制作しています。彼女の作品には魅力的なキャラクターが描かれており、暖色系の色と焦げた色合いで描かれ、光と影のコントラストを生み出しています。 彼女の作品の特徴は、誰かの記憶の中にありそうなシーンを描くことが好きなので、作品の背景にあるストーリーよりも、少女のポーズを重視しています。音楽、友人、ショー、夢など、様々なものからインスピレーションを受けている彼女の絵を見て、その思い出を楽しんでもらいたいと思っています。 過去にはミュージシャンとのコラボレーションや、リリースされたばかりの楽曲のカバーを手がけたこともある。今後もミュージシャンやイラストレーターとのコラボレーションを楽しみにしている。今後もアーティストとしての活動の幅を広げていきたいとのことなので、作品が公開されている今のうちにチェックしておきましょう。 See More Details See More Details See More Details See More Details See More Details

“window”Shimizu Jio(MISA SHIN GALLERYにて)

目に見えないものを感じさせる現象をもたらす作品 東京のミサシンギャラリーにて、日本のアーティストShimizu Jioの個展「window」が開催されています。本展は、1966年生まれ、広島・埼玉を拠点に活動している清水慈夫の3度目の個展となります。 Shimizuは、アートと自然科学の関係性を探る実験的な作品を制作しています。彼の作品は、音、動き、光、振動などの要素で構成された現象を生み出しています。 本展では、数点の作品の中からShimizuの作品"window"に焦点を当てて展示します。"window"は、ビッグデータの原理を利用した作品です。2台のモニターが更新され、リアルタイムでTwitterのフィードを表示しています。7ヶ国語で書かれた「光」と「闇」という言葉を含むツイートが出てくると、2つの発光パネルが点滅します。あなたはどちらのパネルがより多くの光のちらつきを期待しますか?どちらの言語の方がモニターによく映ると思いますか?そう思う理由は何でしょうか?作品を見る前に、自分に問いかけ、自分なりの仮説を立ててみると、展示をより気持ちよく感じることができるでしょう。 実用的な部分では、ビッグデータとTweeterをベースにしながらも、人間界の間にある天国と地獄を描いたヒエロニムス・ボスの「地上の喜びの庭」の影響も受けています。歓喜の庭』のように、"window"の左側が "光 "に、右側が地獄としての "闇 "を意味し、中央が監視された愚かな人間世界に対応する空虚さを暗示していることに気づくかもしれません。 また、"window"とともに、Iida Hiroyukiとのコラボレーション作品"decay music"も発表します。"decay music"は、室内に設置されたシンチレーターを用いてガンマ線の放射線を検知し、それに応じて放射線の音を再生するミクストメディア・インスタレーション作品です。「decay music」は、室内に設置されたシンチレーターでガンマ線を検出し、展覧会期間中に美佐新ギャラリー内で放出される放射線の音色を再生する。作家はまだ福島やチェルノブイリなどの放射能の高い場所で「崩壊音楽」を演奏したことはありませんが、もちろんそのような都市ではエネルギーの高さから高い音を奏でるでしょう。その点、本作品は放射線量に応じて様々な音を生み出す可能性を持っており、近々どこかで次の場所で"decay music"が見られることが期待されています。 それらの時間軸の作品では、現象が起こる。目に見えないものを目に見えるものに変換するのではない。作品がもたらす現象から、私たちは目に見えないものを感じることができるのです。清水慈夫の "windows "展は6月28日よりスタートし、2019年8月10日までミサシンギャラリーにて開催されています。 記事を書いた人:Jeongeun Jo韓国出身、日本在住。東京藝術大学大学院美術研究科を卒業したTRiCERAのメンバーの一人。アーティストとしても活動しています。

眞野丘秋 | 絵画による思弁。プリミティブな語りをみせる抽象絵画。

眞野丘秋は1976年滋賀県出身、2006年から出生地を拠点に活動をスタートさせた。京都芸術大学に学び、これまで国内での展示活動のほかベルリンの「BERLINER LISTE」やニューヨークの「ART EXPO NY」など国外展開、さらにエッセイや写真集などの媒体の違いに関わらず創作活動を行なってきた。 アンフォルメルなど1940年代の抽象表現の流れを意識したアクリルペインティングをメインにする眞野は、曰く「技法としては特に難しいことはしません。キャンバスにストレートに絵具を塗っていきます。絵画が、幼児が落書きするような、誰にでも描けるものだというメッセージが込めて」と語る。父親が日本画家、母親は音楽家という芸術一家に育った彼にとって創作や自己表現が平易な、ごく日常的な営みであったことは、眞野にアートへ特別意識を持たせることをさせなかった。 19歳の折に直観した神秘体験が創作のルーツである彼は、愛や光や希望や自然といったプリミティブなテーマを、そのアウトプットにおいて抽象表現主義的なアプローチから絵画に仕上げていく。横尾忠則や堀尾貞治といった前衛派の姿勢を見習う彼は、絵画史に対しても真摯に見える一方、その営みの先に「他者とつながること」を見据える。つまり、ある意味で眞野の絵画は、自然や地球といった人間にとっては大きな視点を軸にしたメッセージと言えるかもしれない。あたかも、この星で起きる全ての現象のように。 アーティストのページはこちらから

漫画はアートとしてどう流通するか?集英社によるマンガアート「SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE」が始動。

岡本 評価いただき、ありがとうございます。でも「アートマーケット」の中で、既存のジャンルとバッティングするようなことにはしたくないとも考えています。絵画にしろ、彫刻にしろ、アートにも様々なジャンルがあると思うんですけど、市場の中でそれらと競合し、シェアを奪うようなことはしたくない。「したくない」と言うより、面白くないと思うんですよね。 むしろ、他のジャンルとコラボレーションする。工芸の作家さんとコラボレーションして、漆塗りの額縁をいっしょに作ってもらうとか。アート作品として、しかも日本のクリエーションとして海外にプレゼンテーションしていくと考えた時、そういう他のジャンルと協力することが重要になって来るとは思いますね。 井口 漫画をアートのジャンルに広げながら、既存のアートとの共生というか、新しい価値を生み出していく。 岡本 そう、そこが面白いと思うんです。これまでもポスターとか、例えば複製画とかはあった。でもアートとしてのクオリティを担保させた、つまりアートワークとしてコミックスを展開させる発想はどこにもなかったわけですよね。もちろん集英社としても初めての試みだし、業界にとっても新しいことだとは思うんです。 井口 今「アートとして」と仰いましたけど、その点で言うと、僕なんかはブロックチェーンによる証明書の発行は面白いと言うか、ある種の核心をついていると思います。アートに携わっている者の業と言いますか(笑)、ブロックチェーンや証明書と聞くと流通のあり方や価値形成や担保について考えているだろうな、とは想像がつくんです。というのも、今回はマルチプルな作品として展開させると思うんですが、そうなった時にはエディション管理の話は必須になってくる。 岡本 そうですね。そもそも、このプロジェクトに可能性を感じたきっかけもまさにそれで。今回はとにかく「複製品を売っている」と捉えられることは避けたかった。そうするとエディション管理とか、流通のさせ方にも工夫というか、アート作品として市場に流れていくロジックが必要だったんですよね。スタートバーンのブロックチェーンシステムはそういう意味では一つの大きなきっかけでしたね。 井口 今のお話にポイントがあったと思うんですが、その「アートとして流通させる」という点はすごく重要で、僕は現代アートとはジャンルというよりは一つの仕組みだと思っているんですね。けれど、そう考えた時、先ほどの話の繰り返しになりますけど、やはり版画や写真のような再制作が可能な作品の流通ではエディション管理、もっと言えば市場での価値の管理がすごく重要になる。 岡本 おっしゃるとおりだと思います。 井口 むしろそこさえクリアできれば、なんと言いますか、土壌は出来ていると思うんです。今の現代アートではKAWSをはじめ、もともとは外の世界にいた人たちが受容されていく傾向がある。ストリートアートやポップアート、あるいはイラストレーションが一つのジャンルになったわけですよね。言い過ぎかもしれませんが、そこに漫画という新しいジャンルが入ってくる下地はあるんじゃないのかな、と。こんなこと言うと、また方々から「言い過ぎだ」とかお叱りを受けるかもしれませんが(笑)。 岡本 いや、でも言っていることは分かります。でも、だからこそいかに丁寧に価値をつくっていくか、というところは重要になる。梱包一つとってもそうだし、配送もそう、もちろん証明書の話だってそうですよね。 井口 フランスでは漫画は九番目のアートとも言われているし(笑)。でも今お話になっている通り、現代アートは仕組みの世界で、そこにはルールがある。その「お作法」と言いますか、商慣習のようなものをおさえている点がストイックだし、このプロジェクトが本気なのだなと感じます。 岡本 ただその文脈で話をすると、一方では現代アートというか、ファインアートの中枢みたいなところとのバッティングは避けたい。あくまでも漫画というバックグラウンドは意識するし、ファインアートにも既存のやり方や作法がある。そこへ無理に合わせようとするとよくないんじゃないか、と。もちろん全く無視はしないし、だからこそブロックチェーン証明書の話もあるんですが…。もっと広い意味でのアートとして定着させたいし、それ独自の文脈や価値を考えていく必要があると思っています。 井口 なるほど。あと価値の点で言うと、これは個人的な意見ですけど、価値って感じ取るもので、それは共通の価値つまり認識が生まれることで大きくなっていくと思うんですね。その共通の価値が大きくなって総体的な価値が生まれる。マンガアートがどうやってアートとしての価値を生み出していくのか、この点はすごく可能性があるし、興味があります。 漫画の継承の方法としての「マンガアート」 井口 核心と言うか、少し突っ込んだ話ですが、この「SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE」と複製品の最大の違いはどこにあると考えてますか? 岡本 一番はリサーチと修復ですね。実は漫画の原画というのは退色や劣化がものすごく早いんです。油絵などよりもずっと脆弱です。というのも、週刊や月刊連載をベースにしている漫画の原画は、その制作速度に適応するために乾きやすい染料系のインクを使うことが多いんですね。この画材があって漫画の表現が豊かになっているんですが、一方でこうしたインクは退色や変色が早いんです。あとは写植を貼る接着剤など、紙を傷める要素がいっぱいある。 井口 そうか、印刷を前提にするから原画を長持ちさせるという発想はないんですね。 岡本 そう、まさに。アーカイブの専門家からすると「100年は保たない」という話もあると聞きます。きちんとした設備状況で保存しても、です。漫画の原画は、どれもくまなく、現在進行形で劣化に向かってるわけですよ。だから今回の作品化する際にも、元の状態がどうだったかというのをリサーチし、修復しながら制作するんですね。 井口 単純にプリントしているとか、そういう話じゃないですね。 岡本 そうなんです。それに漫画と違い、原画を縮小ではなく拡大している。だから撮影からプリントまできちんと行わないと鑑賞に耐えられないものになる。制作から流通まで、全て細かいコントロールをきかせながらするわけですけど、そうなると単純に複製品をやってます、とは言えない。 井口 アートにすることで残していく。 岡本 絵として残すことで、つまりコミックスの状態とは違う体験を与えるものとしてね。今は紙の原画がオークションで高値で落札された話も聞きますけど、そもそも原画の保存が間に合っていない。デジタルアーカイブはしているけど、大元の紙については劣化が進むばかりなんです。だからこそこのプロジェクトでお金が生まれれば原画の保管の研究にも回せるし、もちろん作家さんへの還元もできる。 井口 漫画家の新しい活動領域を生み出せますよね。 岡本 まさにそうで、やはりコミックスの世界も段々と厳しくなっている現状はあって。原稿料や印税だけで生計を立てるのは難しい作家さんでも、自分が描いた絵をアートとして活用できれば違った可能性も見えて来るかもしれない。将来的には新人漫画家さんの絵も作品化していきたいとは考えてますね。 井口 そう考えると、「SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE」の目指すところはだいぶクリアですよね。漫画の継承、漫画作家の新しい可能性。 岡本 漫画は、やはりどうしたって日本の重要な産業でもあるし、文化でもある。それを時代に適応しながら継承していく方法については考えなくてはならないし、これまで漫画を世の中に送り出していきた集英社だからこそ真剣にならなきゃいけない問題だとは思っています。アートとしての漫画が成立するのか、それをこれから丁寧に、そしてもちろん挑戦的に積み重ねていきたいですね。 岡本 正史 | Masashi Okamoto 「SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE」事業責任者・ディレクター。東京芸術大学美術学部卒業後、株式会社集英社入社。女性誌~女性誌ポータルサイトを 経て、マンガ制作のデジタル化に参加。集英社刊行の主要コミックスをアーカイヴしデー タベース運用する「Comics Digital Archives」を企画・実現。「少年ジャンプ」等マン ガ誌の制作環境のデジタル化を行う。デジタル事業部に異動後「Manga Factory」 「SSDB(集英社総合データベース)」を立ち上げ。 井口 泰 | Tai Iguchi 株式会社TRiCERA 代表取締役/Founder。一般社団法人日本アートテック協会(JAAT)理事大学卒業後、老舗音響機器製造業に入社、アジアパシフィック統括本部にてキャリアをスタートする。シーメンス株式会社に転職、医療機器の受発注に従事、プロジェクトリードとしてシステム導入に尽力。2015年株式会社ナイキジャパンに入社し2017年には日本の直営店舗サプライチェーンを統括するマネージャーとなり、グローバルプロジェクトに参画、日本国内においても複数の新規プロジェクトを立ち上げ実行する。2018年11月1日、株式会社TRiCERAを設立する。 サイトURLhttps://mangaart.jp/  

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人のカタチの美しさを描き出す。美人画の歴史と現代とは。

美人画とは、美しい女性の容姿や所作を描く人物がであり、いわゆる女性美を扱った絵画である。女性を扱った作品は古今東西にあるが、美人画という用語は日本発祥の呼称であり、その様式からも「日本の女性美」を象徴的に扱った作品といえよう。 浮世絵師、菱川師宣に始まった美人画の歴史は、江戸時代を終えた後も、竹久夢二、上村松園らへと託され、庶民の低級な芸術と見なされていた浮世絵を原点とすることから批評家達から集中的な非難を浴びつつも、美人画の人気は大正5年頃には隆興を極めた。 世の中を席巻した当時の勢いこそないものの日本画の一大ジャンルであり、強靭な日本の文化であろう。 しかし、そんな伝統文化化した美人画の響きにはどこか古めかしいものを感じるが、かつて絵のモデルとなった遊女や花魁、茶屋の娘などが消えさった今でも、美人画を創作する者がいる。 光元昭弘 / Akihiro Mitsumoto 光元昭弘もその一人だ。 メディウムとしては日本画の岩絵具ではなく、油彩とプラチナ箔であるものの、描かれる女性の佇まいは美人画のそれであろう。 「余白を活かし、人物だけではなく、その人物が存在する空間まで表現したい」と語る光元の作品からは精緻なタッチで描かれた美人の息遣いや無機質な場の静謐さまで見事に表現されている。 また注目していただきたいのが背景である。女性が直に座るタイルやコンクリート打ちっぱなしの壁など、建築家として働いていたバックグラウンドが垣間見える。 作品の紹介はこちらから 丁子紅子 / Beniko Choji アーティストの性別が変われば、女性美への視点もまた大きく変わる。丁子紅子の作品との出会いは、そんな思いをふつふつと湧きおこす。 丁子は無表情な女性一人を画面に現す。女性と衣服、そしてその他のモチーフ一点ほどを、極力まで色を制限し表現するのは、鑑賞者の感情を入れ込む隙間をつくり出し思索を促すためだという。また背景もなく、自然視線が誘われる美人は幕末以降の美人画に見られる「退廃的美人」の要素が感じられる。 性や暴力が表現されることの多い赤と黒を使用し、毒々しい化粧や装いの女性を描いていることから、一瞥すると緊張感のある作品のように捉えられる。しかし、描かれた女性の表情を時間をかけて見れば、絵画からとても優しい温度が伝わり、緊張が緩やかに弛緩していくのが自覚される。見るたびに表情を変え、鑑賞者の心情を揺さぶる丁子の美人画は見飽きることがない。 作品の紹介はこちらから 今野雅彦 / Masahiko Konno ここまで紹介した作家は比較的過去の文脈に基づいたトラッドな作風のアーティストたちであった。しかし、美人画がもっている「日本の女性美」に現代のエッセンスを注入するアーティストもいる。中でも今野雅彦は極めて現代的な感性を感じさせる。 江戸時代における美人画は、モデルに似ているかは重要視されず、美人がどの浮世絵師の「型」で表されるかに重点がおかれた。その後、時代の進みに応じて、リアリティの追求がなされ女性の姿も現実に即したものに徐々に近づいていった。 今野は様式化された美人画をさらに更新し、まるでSNSにアップロードされている写真のように描く。「日本の女性美」を現代的な目線で捉えた結果の帰結なのか、はたまた偶然なのか。ともかく、今野の描く瑞々しい女性は「生きている」 作品の紹介はこちらから 池永康晟の人気からもわかるように美人画復興の兆しは確かに存在する。美人画の歴史を今後紡いでいくアーティストは果たして誰だろうか、画面に佇む美人を眺めながらそんなことを考えるのもいいだろう。

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日本のアートを買うべき理由」を他のアジアのアートマーケットの統計と比較してみる

世界の美術市場における統計の比較から見た日本美術の大きな価値 世界第3位のGDPを誇る日本のアート市場は、その規模が小さく、アートシーンでは意外と知られていない事実です。そのため、日本のアート市場は過小評価されています。しかし、株式市場と同じように、日本のアート市場に投資することには大きな価値があるということになります。 アート東京協会が発表したデータによると、2016年の日本からの美術品輸出額は約350億円で、世界の美術品市場に占めるシェアは米国が40%、中国が20%であるのに対し、日本は3.1%となっています。このことから、日本のアート市場の上昇の可能性が見えてきました。 では、どのような芸術、どのアーティストに投資すべきなのか、と悩むかもしれません。一般的には、リスクが低いという理由から、有名なアーティストだけに注目しがちです。しかし、有名な作品への投資は、若くてあまり知られていないアーティストの作品を購入するよりも、はるかにリスクが高くなります。例えば、アジアで最も人気のあるアートジャンルの一つである韓国式モノクロームムーブメント「淡彩華」については、以下の統計によると、最近の世界のアート市場での変動率を示しています。 上のデータチャートは、「淡彩華」を代表する6組のアーティスト、キム・ファンキ、イ・ウファン、チョン・サンファ、パク・ソボ、ユン・ヒョングン、ハ・チョンヒョンのデータを基にしています。 アート投資家が有名ジャンル・有名アーティストに投資する理由:トレード性 有名アーティストに「イズム」で投資する人が多い傾向の理由は、トレード性をベースにした安全性が一番の理由です。しかし、上記のチャートを見てもわかるように、有名なジャンルやアーティストに投資しても安全性が高いとは言えません。最近では、「流行」だけに注目しないように、美術史的価値をもっと掘り下げようとする試みが前面に出てきています。そのため、「この『イズム』は、私たちの社会やアイデンティティ、時代を本気で表しているのか」という声が高まっています。このような流れは、主流の作品の中にある「信頼に値する価値」が不安、無担保の資産に変わることを意味している。 しかし、比較的知名度の低いアーティストの作品は、アーティストとしてのキャリアを辞めない限り、価格が大幅に上昇する可能性が高く、芸術的価値が発掘される可能性があります。また、日本の美術市場が過小評価されていたことを考えれば、日本の若手アーティストや知名度の低いアーティストであっても、芸術的価値を持ったアイデンティティーを求めて活動しているアーティストに投資することは、楽観的に評価されてもおかしくない。 世界のアート市場で20%のシェアを占めていた中国のバブルは、韓国の「淡彩華」のようにゆっくりと崩壊していくだろう。すでに成長してきた他のアジア市場と比較して、日本の美術市場は成長の可能性があり、安全であることが示されています。 TRiCERA.netは、展覧会やアワードを通じ、日本から世界に名を馳せている新進気鋭の才能と世界をつなぐことを目的に設立されました。あなたのポートフォリオのために一点もののアートを手に入れたいとお考えの方は、100名を超えるアーティストの中から、将来的に大きなリターンをもたらす可能性のある作品を探してみてはいかがでしょうか。 記事を書いた人:Jeongeun Jo韓国出身、日本在住。東京藝術大学大学院美術研究科を卒業したTRiCERAのメンバーの一人。アーティストとしても活動しています。

漫画のアート化は何を生むのか? 集英社による「SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE」が目指す、次の漫画のあり方

集英社によるマンガ原画をエディション作品化するプロジェクト「SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE」。今回は集英社・デジタル事業部の岡本正史、コレクターの小池藍、アーティストの曾超を招き、それぞれの観点からみた「マンガアート」の可能性、アート業界との交流性について座談会を行った。 方法論としてのアートは漫画の継承を変えるのか - 今回は集英社さんがスタートされた越境EC事業「SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE」についてディレクターの岡本正史さん、コレクターの小池藍さん、アーティスト曾超さんを交えてお話できればと思います。まずは岡本さんから簡単にプロジェクトの概要をご案内頂ければと思いますが、今回の事業のきっかけは漫画のアーカイブだそうですね? 岡本正史(以下、岡本) そうですね、そもそもの始まりは2007年頃に集英社が開始した、コミックスのデジタルアーカイブ「Comics Digital Archives」(略称CDA)です。当時はまだ「デジタルアーカイブ」という言葉自体が耳馴染みのない時代でした。それが時を経て、デジタルコミックスへの活用はもちろんですが、それ以外にもアウトプットのあり方、世の中に漫画を伝える方法があるんじゃないかと模索した結果の一つが今回の「SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE」なんですね。  概要としてお話しすると、まず1つ目には単純な原画の複製ではなく、アート作品としてのクオリティを持たせるということ。2つ目にはスタートバーンのアートブロックチェーンネットワーク「Startrail」に接続して、1点1点の来歴を記録していきます、ということ。最後には漫画の原画アーカイブが文化庁を絡めた事業として始まっていて、紙の漫画をどのように後世に伝えていくのかという問題意識を背景にしていること。少し長くなりましたが、この3つを柱に立ち上げたんですね。 - 漫画の継承のあり方としての作品化と流通という側面があると思いますが、その「アート化」するにあたっては見る方も、もちろんつくる方にも違ったロジックがあると思います。 岡本 これは今日参加して頂いているお二人がどう感じているかお聞きしたいところなんですが、プロジェクト側としては「アートを漫画にする」と考えた時、漫画をファインアートの文脈の中に持ってきて流通させるのが果たして良いのかどうなのかと考えるんですね。あくまでも漫画は漫画、アートはアートという風に異なった文脈と共に発展して来た。だからこその「MANGA-ART」という、漫画とアートの間にハイフンを入れていて。漫画アートの新しいジャンルを作りますよ、という方が良いんじゃないかな、と考えたりしています。 小池藍(以下、小池) 良い考え方というか、とても柔軟な捉え方だと思います。それに今回は越境ECを選択していらっしゃるところもなお良いな、と。市場的なところで言うと、アートの市場って世界全体でも7兆円ほど。日本だともっと小さいし、こうした取り組みをするなら海外を相手にするというのはすごく良い判断だと思うんですね。 岡本 ありがとうございます。それでいうと、日本はだいたい3500億円程度ですよね。 小池 「大きく見積もって」という前置きが付きますね。純粋な売買にフォーカスすると通常では2500億円程度と言われています。 岡本 なるほど。漫画でいうと、デジタルコミックスの去年の売上が3500億円程度と蜜守られているんですね。しかも日本だけの数字です。世界を含めたり、あとは紙のコミックスを含めるともっと大きい市場になる。あえてファインアートの流儀に完璧に合わせるより、漫画は漫画として培ってきた文脈を活かす方が発展の仕方が豊なのかなと考えたりはします。もちろんファインアートの方とコラボすることはアリだと思うんですが。 小池 いや、それは本当にそうだと思います。世界規模で7兆円のアート市場にアニメや漫画の市場規模を足す。以前から、ディズニーのセル画がオークションで破格の値段がついたり、と、その世界にもコレクションという考え方はありますよね。漫画に固有のコンテクストを活かしながらアートとして広げていく、という考えはすごく面白いと思います。 岡本 その「漫画をアート作品にする」ということを考えたとき、これは特にアーティストである曾超さんに伺ってみたいのですが、純粋にどう見えるのかな、と。  曾超さんは油彩を使った、すごくテクスチャーが際立った作品を制作していますよね。作家さんの手が直に関わった、言うならば身体感覚が強く出ている作品だと思うんです。今回の漫画アートは伝統的な油彩であったり、タッチや立体感がある作品とは別物で、まさに平面性にフォーカスしているんですが、ペインターとしてどういう風に感じるのか、その点を伺ってみたくて。 曾超 そうですね、一般的にファインアートのペインティングだと確かに物質性や身体性を重視しますね。平面の像よりも物質性の感覚を大事にする傾向にあって、そこは漫画と大きく違う考え方だと思います。  ただ平面性と言った時に思い浮かぶのはやはり村上隆さんのスーパーフラットですね。中国でもアニメや漫画の文脈を持った作品はありますけど、でも批評家の反応はよくない。「日本の方がクオリティは高い」と言うんです。だから、ある意味では日本独特の考え方というか、ものの作り方のような気はします。 - 物質性という話が出ましたが、今回は印刷を特にこだわっていますよね。特別な印刷技術の使用という、テクニカルな部分がモノとしての価値を与えているのかな、と。 岡本 ありがとうございます。それはタイミングの問題もあって、本当に運が良かったと思ってます。というのも特別な印刷機、それから職人さんにお願いをしていて。  少年ジャンプは樹脂板という、凹凸のある版を毎週つくって大きな活版輪転機で印刷にかけるんですが、これは質がいいとは言えない紙に印刷している。週刊のマンガ雑誌の価格にみあった紙と印刷なんです。でも「活版印刷機で、本気で美しく刷ったらどうなるのか」と。それを行うには、高速で印刷する輪転印刷機ではなく、質の高いプリントが行える活版平台印刷機が必要です。昔は都内にたくさんあったそうですが、今はもうほとんどなくて。今回は長野の印刷会社さんにあるのを共同印刷グループに見つけていただき、印刷も熟練の職人の方にお願いしました。 小池 今の話を聞いて思ったんですが、やはりチーム力ですよね。基本的には作家が一人で仕上げていく油彩やアクリルによる作品はそれはそれで魅力があるんですけど、でも漫画は漫画家がいて、編集の方がいて、それから印刷の方がいてって総合的なクリエイションになっている。 岡本 そうですね。漫画の背景って実は意外と知られていないので。でもこの機械も技術も、このままだと失われてしまう。これが継承のきっかけになったら面白いし、すごく意義があるとは思いますね。 小池 いや、それは本当にそうだと思います。世界規模で7兆円のアート市場にアニメや漫画の市場規模を足す。以前から、ディズニーのセル画がオークションで破格の値段がついたり、と、その世界にもコレクションという考え方はありますよね。漫画に固有のコンテクストを活かしながらアートとして広げていく、という考えはすごく面白いと思います。 岡本 絶妙なバランス感覚の世界ですよね。 小池 いや、本当にそう。若手の作家なんか特に気を使いますね。というのは、今まさに国内オークションが盛り上がっていますけど、国内で極端に高くなり過ぎると海外のギャラリーは良い顔をしないというか、扱おうとしなくなるんですね。「これじゃ自分たちがやっても利益が出ないから」と。ただ逆にクオリティに対して価格が低いと「まだ伸び代があるな」となるわけですけど。 岡本 ああ、すでに価格が出来上がってしまうと…。 曾超 中国でもセカンダリーはすごく影響が強いですね。特に香港などはすごく勢いがある。そこに振り回されてしまうアーティストもいたりしますが。 小池 もちろん国内という、決まったエコノミクスの中で活動していくことも方法の一つだと思うんですが、でもアーティストのステージにもよりますけど、やはりセカンダリーの価格ばかりが伸びてしまうと世界に出ていきにくい。  そういうキメの細かいハンドリングが必要になる現代アートの世界に対して、今回のプロジェクトはもっと柔軟な発想ができるな、と。仮にセカンダリーのマーケットができたとして、それが漫画家に大きな影響を及ぼすわけではない。それにブロックチェーンでもしっかり管理されてますし。 岡本 やっぱりブロックチェーンはきっかけとして大きいですね。来歴も記録されていくし、将来的には追求権のようなことも考えられる余地がある。集英社が発表している複製原画ですらセカンダリーですごい値段がついている状況がありますが、ブロックチェーンの仕組みをつかった作家さんへの還元の仕組みも研究していければ、と思っています。 あとキャリアという話で言うと、今回は3名の先生にお願いしているんですが、いずれは新人漫画家さんにお願いしたいな、とも。 紙のマンガ雑誌の仕組みは厳しくなっているところも多いと思います。マンガ雑誌の原稿料と、コミックスの印税に加えて、漫画アートが、収入のひとつに育っていくとよいのではないか、と。デビュー当初の漫画家さんの100万円と、ベテランの100万円って重みが全然違うでしょうし…。 小池 作家にとっての新しい選択肢ですよね。LINEマンガとか、デジタルコミックスのおかげで作家になれるハードルは下がった、でもそれだけで生計を立てるのは難しいという中で今回のような選択肢があるのは良いと思いますね。…実は4月から美術大学で将来のマンガ含む作家に対してアントレプレナーシップを教えるのですけど、まさにそうした部分ですよね。 岡本 そうですね。漫画をどう継承するかという問題と向き合っていくことはもちろんなのですが、一方では変化していく漫画そのもの、漫画家さんのキャリアそのもののあり方にも関わっていける方法とも言えて。まだ始まったばかりではあるんですが、今日頂いた話も含めて、展開はどんどん柔軟に考えていきたいですね。 Profile岡本 正史 | Masashi Okamoto「SHUEISHA MANGA-ART HERITAGE」事業責任者・ディレクター。東京芸術大学美術学部卒業後、株式会社集英社入社。女性誌~女性誌ポータルサイトを 経て、マンガ制作のデジタル化に参加。集英社刊行の主要コミックスをアーカイヴしデー タベース運用する「Comics Digital Archives」を企画・実現。 小池...

ヌードの現在系-「裸」に向き合う現代絵画-

 人間のありのままの姿を表現するヌード。遥か昔、紀元前のギリシャ美術の時代からヌード作品は制作されているばかりか、体系化されていない原始美術などでも全世界的に盛んに制作されてきた。  ミラノ勅令後、ヨーロッパはキリスト教の名の下に社会の統治が行われてきたわけだが、公序良俗を掲げる時代にあっても芸術の世界では「裸」は不可侵の領域であった。ヌードを扱うには「寓意性や神話性を持っている」というエクスキューズが必要だったとはいえ。  しかし「聖書や神話、物語のワンシーンを描いた神話画・歴史画」以外の領域で、ゴヤによって描かれた西洋美術史において最初の卑俗的で具象的な女性ヌード絵画《裸のマハ》によって新たな地平が開ける。  その後も、人々がその魅力に囚われ続けるヌードはアートの世界を超え、様々な登場人物によってドラマチックな変遷を辿った。だがしかし、このインターネット時代、いつでもどこでもスマートフォン一つで「裸」に接続できてしまう。その点、官能性で他のメディアに勝てるのかといえば疑問が残るが、それでも今日のアーティストが「裸」を扱う意義とはなにか?本記事で紹介する作品を通して、共に考えていきたい。 Fiona Maclean 作家の詳細はこちらから Andrea Vandoni 作家の詳細はこちらから Isabel Mahe 作家の詳細はこちらから Zakhar Shevchuk 作家の詳細はこちらから Badri Vaklian 作家の詳細はこちらから

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