木曜日, 5月 26, 2022
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日本のアートを買うべき理由」を他のアジアのアートマーケットの統計と比較してみる

世界の美術市場における統計の比較から見た日本美術の大きな価値

世界第3位のGDPを誇る日本のアート市場は、その規模が小さく、アートシーンでは意外と知られていない事実です。そのため、日本のアート市場は過小評価されています。しかし、株式市場と同じように、日本のアート市場に投資することには大きな価値があるということになります。

アート東京協会が発表したデータによると、2016年の日本からの美術品輸出額は約350億円で、世界の美術品市場に占めるシェアは米国が40%、中国が20%であるのに対し、日本は3.1%となっています。このことから、日本のアート市場の上昇の可能性が見えてきました。

では、どのような芸術、どのアーティストに投資すべきなのか、と悩むかもしれません。一般的には、リスクが低いという理由から、有名なアーティストだけに注目しがちです。しかし、有名な作品への投資は、若くてあまり知られていないアーティストの作品を購入するよりも、はるかにリスクが高くなります。例えば、アジアで最も人気のあるアートジャンルの一つである韓国式モノクロームムーブメント「淡彩華」については、以下の統計によると、最近の世界のアート市場での変動率を示しています。

上のデータチャートは、「淡彩華」を代表する6組のアーティスト、キム・ファンキ、イ・ウファン、チョン・サンファ、パク・ソボ、ユン・ヒョングン、ハ・チョンヒョンのデータを基にしています。

アート投資家が有名ジャンル・有名アーティストに投資する理由:トレード性


有名アーティストに「イズム」で投資する人が多い傾向の理由は、トレード性をベースにした安全性が一番の理由です。しかし、上記のチャートを見てもわかるように、有名なジャンルやアーティストに投資しても安全性が高いとは言えません。最近では、「流行」だけに注目しないように、美術史的価値をもっと掘り下げようとする試みが前面に出てきています。そのため、「この『イズム』は、私たちの社会やアイデンティティ、時代を本気で表しているのか」という声が高まっています。このような流れは、主流の作品の中にある「信頼に値する価値」が不安、無担保の資産に変わることを意味している。

しかし、比較的知名度の低いアーティストの作品は、アーティストとしてのキャリアを辞めない限り、価格が大幅に上昇する可能性が高く、芸術的価値が発掘される可能性があります。また、日本の美術市場が過小評価されていたことを考えれば、日本の若手アーティストや知名度の低いアーティストであっても、芸術的価値を持ったアイデンティティーを求めて活動しているアーティストに投資することは、楽観的に評価されてもおかしくない。

世界のアート市場で20%のシェアを占めていた中国のバブルは、韓国の「淡彩華」のようにゆっくりと崩壊していくだろう。すでに成長してきた他のアジア市場と比較して、日本の美術市場は成長の可能性があり、安全であることが示されています。

TRiCERA.netは、展覧会やアワードを通じ、日本から世界に名を馳せている新進気鋭の才能と世界をつなぐことを目的に設立されました。あなたのポートフォリオのために一点もののアートを手に入れたいとお考えの方は、100名を超えるアーティストの中から、将来的に大きなリターンをもたらす可能性のある作品を探してみてはいかがでしょうか。

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記事を書いた人:Jeongeun Jo
韓国出身、日本在住。東京藝術大学大学院美術研究科を卒業したTRiCERAのメンバーの一人。アーティストとしても活動しています。

Shinzo Okuokahttps://www.tricera.net/
1992年東京都出身。大学でインド哲学を学んだ後出版社に勤務し、アート雑誌と神社専門誌の副編集長として雑誌及び書籍の企画・編集に携わる。2019年にスタートアップ企業である株式会社TRiCERAに参加、日本初の現代アート専門の越境ECの開発及びアーティストのマネジメント、自社オウンドメディアの立ち上げを担当する。特技は速筆で、雑誌時代には1ヶ月で約150ページを1人で取材・執筆した。

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Feature Post

“新しい絵を描きたい”

独学で制作している加藤浩介は、美術史や現代の美術シーンを熱心に研究・研究している若者の一人です。彼の作品は、風景を参考にしながら、情景の中にある視覚情報を分解し、幾何学的な図形に変換することで制作されています。絵画の背景にあるストーリーや制作過程に興味を持ち、「そもそも絵画とは何か」という命題を常に念頭に置き、絵画の境界線を押し広げる姿勢を示しています。 まず、あなたの絵について教えてください。 私の作品のモチーフは風景です。ただ風景を描くのではなく、視覚情報を分解して幾何学的なパターンに置き換えています。私はローラ・オーエンスからインスピレーションを得ています。風景画を描くようになったきっかけは、大きな絵を描きたいと思ったからです。対象物は大きければ大きいほど、その対象物の世界全体を表現するのに適しています。また、ランドスケープは情報量が多く、再統合のために分解しやすい。 Nojima, 91×91cm 最初から風景画を描かれていたのですか? いえ、最初はリアリズムとミニマリズムを組み合わせた作品を描いていました。23歳の時に描き始めたんですが、自分の作風はとてもシンプルで、リアリズムの絵は結構売れるから、日本の文化である「侘び寂び」を組み合わせれば売れるんじゃないかと思っていたんです。しかし、いろいろなことを模索しているうちに、自分の好きな形で何かを作った方がいいと思い、現代美術の歴史や情景を勉強し始めました。都内の美術館にもたくさん行きましたし、美術関係の本も読んで知識を得ました。2019年頃から自分のスタイルで風景を描き始めました。 作品を制作する際に大切にしていることは、アートの文脈なのか、それとも自分の考えや気持ちなのか。 新しいものを作るには伝統や歴史を知る必要があると思うので、私は伝統をより重視しています。古いスタイルを知ることで、新しいスタイルの絵画が描けると思います。私は画家でありたいと思うと同時に、新しい絵画を作るという文脈の中にいたいと思っています。 snowscape, 194×162cm 新しさについてはどのようにお考えですか? 新しさとは違う言葉かもしれませんが、キュビスムは面白いと思います。キュビスムは抽象的でありながら、本質的な目的はイメージの再統合だと思うんです。そういう意味では、私の描き方にも似ていると思うのですが、違うイメージでやっているのかもしれません。 そもそもなぜアーティストになろうと思ったのですか? 絵を描くことは好きでしたが、自分に特別な才能があるとは思っていませんでしたし、人から褒められることもありませんでした。きっかけは、高校時代の美術の先生がいろいろな美術の本を見せてくれたことです。その中にジャクソン・ポロックの本があって、感動しました。そもそも絵ってなんだろう」という好奇心が私の原点でした。 Awkward Tree, 91×117cm 今後の予定を教えてください。 2019年から風景シリーズを始めたのですが、私の焦点は制作過程にあることを再認識しました。私は、絵画とは何か、絵画の歴史を物語るようなものを描くことに興味があります。もう一つ重要なのは、同時代性です。今は誰もが何でもネットで検索する時代です。ソーシャルメディアから画像を引っ張ってきて、それを自分の絵の中に入れたら面白いのではないかと思っています。今の時代の良い部分を取り入れながら、今後も絵画を追求していきたいと思っています。

上床加奈 / 中島健太 / 野田怜眞による版画作品

TRiCERA人気作家による版画販売 先行予約はこちらhttps://forms.gle/tugNmB9D1QEhPLSq5 この度、TRiCERAではフジテレビのWEBメディア「フジテレビュー」に登場したアーティスト 上床加奈、中島健太、野田怜眞の3名のアーティストの版画作品を予約抽選販売致します。【販売に関する諸注意】(1) 作品にアーティスト直筆サイン、エディションナンバー入り。(2) 数量限定のため、在庫が無くなり次第販売は終了となります。(3) エディションナンバーは選択出来ません。(4) 作品の配送は本発売(2020年10月15日予定)より約2週間から1ヶ月のお時間を頂きます。(5) 下記の作品の仕様は制作前のものであり変更が生じる場合がございます。(6) お一人様一作品あたり2点までご予約いただくことが可能です。 上床 加奈《Blood 6》 アーティスト:上床 加奈 Kana Uwatoko タイトル : Blood 6 エディション:30 イメージサイズ(作品の図の大きさ):176 × 700mm シートサイズ(用紙の大きさ):196 × 720mmジクレープリント・ホログラム加工...

東京を拠点に活動する銅版画家, Jihye Kim

 1993年 韓国生まれ 2018年 韓国ソウル・弘益大学校美術学部版画学科卒業(ダブル専攻) 2018年~ 東京藝術大学大学院修士課程在学中 1.一言で言うとどんな作家さんですか? - 銅版画家です。 2. 作品を作る時に一番大切にしていることは何ですか? - 作品を作る時に大切にしていることは何ですか?雰囲気のある題材で感情を伝えたいと思っています。 3.アートについて、ビジュアルとコンセプト、どちらが重要ですか? -ビジュアルアートで一番大事なのは視覚化だと思います。観客の共感を得られない作品は、ビジュアルアートとしての機能を果たせないと思います。アーティストの最終的な目標は、良いコンセプトを魅力的に表現して、視覚化することで観客を説得することだと思います。 4.アートとは何だと思いますか? -人間の本能である、何かを創造しようとすること。 5. どのようにしてアーティストになったのですか? -自分の作品は自分の人生の記録だと思っています。だから、日記を書くような感覚で作品を作っています。作品を作ることは、自分の存在意義を証明することと同じなので、それが芸術家になった理由だと思います。このような思いは、私の作品のメインテーマにもつながっています。生きることへの強烈な思いをモノにできるのが、アーティストの喜びだと思います。 Kim Jihye , Time to leave, mezzotint, 12x15cm, 2019 ©️Kim Jihye 6.尊敬するアーティストはいますか? -エドワード・ホッパー、ゲルハルト・リヒター、中林忠義、ドホ・ス。 7.あなたのキャリアの中で一番幸せなことと一番大変なことは何ですか? -自分の作品を愛してくれている人に認められた時はとても嬉しいです。逆に、アーティストではない友達とは違う道を歩んでいるような気がします。社会が求める標準化された時間とは違う時間を生きているような気がして、悲しくなることもあります。 8. どんな人に作品を見せたいですか? -昼より夜が好きな人、一人の時間が好きな人。なんとなく、こういう人には共感してもらえると思います。 9. 5年以内に実現したい夢や計画を1つ教えてください。 -...

自宅にアート 〜お洒落な飾り方 簡単ガイド〜

アートは空間に命を吹き込む 映画館を出て現実に戻って来た時、もしくは休暇から帰ってきた時の爽快感を覚えているだろうか?自宅にオリジナルの作品を飾るのも実はそれらと同様の効果があり、つまりはマンネリ化した退屈から開放し、活気を充填してくれるのだ。 突然にウィズコロナ時代へ突入し、自宅環境が整っていなかったことに気付いた読者も多いであろう。労働に食事、またリラックスも全てこなすには未整備の、我々の「新基地」をアップグレードするのも時に適う。意外やも知れぬが、アートは持ってこいなのである。 もし印刷された複製アートを持っているなら、代わりにオリジナル、原画の力を体感する最高のタイミングであるし、所蔵歴ゼロでも問題ない。スタートするには最善の時だ。 なぜ原画・オリジナルなのか? オリジナル作品には、映画俳優のような其々の個性やカリスマ性がある。その細部には、アーティストの旅路が記録され、例えば油絵であれば、絵の具の層に、また色の相互作用や感情的な筆致がその物語を語ってくれる。つまり原画には今も生きたエネルギーが宿るのだ。 選ぶのが難しそう? 部屋に飾るアートの選び方は、必ずしも複雑ではない。簡単な5つのステップで見ていこう。 最初の3ステップ 先ずは、部屋の目的を考えることから始まる。例えば、筆者なら「リビングルーム・歓迎の雰囲気」「ダイニングルーム・高揚感」「ベッドルーム・落ち着き」「キッズルーム・創造性」などを想像する。この目的別の雰囲気ゴールが北極星の様にアートとインテリアとの合わせ方を道案内してくれる。 第二に、スタイルを考慮するのも不可欠だ。分かり易く言うと、いくら有名なジャン=フランソワ・ミレーの「落穂拾い」も、モダンなスタイルのコーヒーテーブルと黒革のソファが置かれたリビングルームとは、とてもスタイルが合わない。代わりに、洗練された雰囲気で統一したければ、飾る作品にもスタイリッシュなものを選ぶのは言うまでもない。 第三のステップは、カラー・コーディネーション。難しそうに聞こえるかも知れないが、気構えの必要はなく、以下の様な質問を自問すればすぐにに解きほぐせる。「お気に入りのラグやカーテンにソファの色、あるいは床の色は?」「存在感が強いのはどの色?」等。そして、答えは「一貫性」であっさり解決。色のペアリングを意識するだけで、簡単にまとまって見えるようになる。  ここで、もう一つ例を挙げておさらいしてみよう。上の写真の部屋は、①くつろいだ雰囲気のリビングルーム、②スタイルは、家具のデザインと素材から判断するに、カジュアルでナチュラル。③の色合わせは、いくつかの色が見当り複雑そうに見える。だが、淡い色調のアートと部屋は、青みがかったグレーが主体となり、クッションの黄色、木の素材の茶色と言う色の共通点で繋がっている。それ抜きでは散漫に見えかねない部屋も、この作品によってかえって調和が取れているのがよく分かる。 第四ステップ:お楽しみの役者探し 場面は整ったので、楽しいアート探しの時間である。ひとつ一つの作品は個性的であり、役者の様に、所持者のキャラクターを表現するものだ。先に挙げた例では、リビングの軽快な絵からオーナーの温厚な人柄が想像できるだろう。自分に合った作品は見れば自然とピンと来るものなので、ここでは理屈よりも、心を自由にして直感的に探してもらいたい。例えば私なら、大胆な色使いと違素材のミックスに、創造的でのびのびとした個性を感じるから子供部屋には下の作品を選ぶ、と言った具合だ 最終ステップ:空間をマスターする 仕上げは部屋の理解である。大都市では贅沢な広さは中々取れず、こう言うと信じられないかも知れないが、アートを加えることで、限られた空間を「視覚的に拡張」することができる。その理由は、目の錯覚にある。空間に平行線を加えることで、広がりを感じることができるのだ。ソファの上など、横に開いた空間には横長の長方形の作品、廊下のような狭い空間には、縦長のものを吊るしてみるのがオススメだ。この行き止まり小路の様なダイニングルームは、タペストリーが無ければ窮屈に見えてしまう所を、縦ラインの強調で奥行きを演出している。(ちなみに、これもまたカラー・コーディネーションの好例なので参考まで。) 色も空間認識に一役買い、淡い色合いや風景のアートワークは、一般的に拡張効果を後押しする。一方で、濃く又は鮮やかな色合いは目の注意を集中させる。 例えば、小さな寝室にシンプルな色配分の風景画を置くと途端に、深呼吸したくなる様なスペースの広がりを感じるだろう。 どこで探すのか? 我々は実に便利な時代に生きている。アートギャラリーを訪れるのは敷居が高く感じる場合でも、オンラインのマーケットプレイスがあるので心配無用。一般的に、価格やスタイルの範囲は従来のギャラリーよりも広範囲に渡り、便利なフィルターやキーワード検索で自由に閲覧できる。探せます。TRiCERA.NETもその一つで、東京を拠点に、若手からベテランまであらゆるステージのアーティストを世界各国から紹介している。アート業界のデジタル化が進む恩恵で、新たなお気に入りのアートを発掘するのは未だかつてなく身近となった。 ArtClipでは、趣味コレクターであり、自身もアーティストであるアメリカ人顧客とのインタビュー記事も掲載の予定だ。彼女のTRiCERAでのショッピング体験や、自宅にアートを購入する理由、どうやって選ぶのか等が紹介されているので、興味のある方々はニュースレターの購読をどうぞお忘れなく。 

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